1872（明治5）年に室蘭港が開港すると翌年1873（明治6）年に函館-森～<海路>～室蘭-札幌を結ぶ札幌本道が完成します。以来1892（明治25）年の鉄道開設、1894（明治27）年には特別輸出港にも指定され19世紀後半に天然の良港と空知地方からの石炭輸送による石炭積み出し港として栄えます。その後1907（明治40）年日本製鋼所、1909（明治42）年北海道炭鉱汽船輪西製鉄場（現在の日本製鉄室蘭製鉄所）が設立、20世紀前半に製鉄・製鋼業のまち室蘭として発展していきます。 道内一の石炭積出港として、最盛期には本州向け道内炭のおよそ6割が移出された室蘭港も石油へのエネルギー転換により1976（昭和51）年、石炭積み出し港としての役割を終えましたが、その後も臨海工業港及び背後地の流通拠点港として北海道工業地域の発展を支えてきました。「港まち」・「鉄のまち」と言われる室蘭は鉄道や石炭により地域経済が発展し、北海道さらには日本の近代化に貢献してきたのです。 製鉄・製鋼業をはじめ湾内に大きな工場が林立している景色と、少し視点を変えるだけで豊かな大自然に触れられる室蘭。最近は「工場夜景」やドラマ・映画のロケ地など、独特な地形と歴史を生かした被写体としての魅力にも注目が集まっています。 1912（明治45）年に建てられた旧室蘭駅舎は道内の駅舎の中では最古の木造建築物として1999（平成11）年に国の有形文化財として登録されるなど、歴史や特色を生かしたまちづくりが進んでいます。